教授挨拶

本学の「東北地方の医療を支える」という使命のもと、当教室も、地域に貢献できる循環器内科医師の育成を大きな目標としています。あらゆる循環器疾患に対して、卒前教育から卒後教育を通して、初期診療から最新の治療法に至るまで、確かな技術と知識と医療人としてのプロフェッショナルな意識をもって、チーム医療の重要性を認識し、そのリーダーとしての自覚を持てる医師を教育していきます。
心臓病は、生活習慣病や動脈硬化など、長年にわたる病的変化の結果として急激に発症し、場合によっては致命的となることも少なくありません。高齢化社会が進行する中、心筋梗塞や狭心症、心不全、不整脈といった疾患への「待ったなし」の対応が求められる現状を受け、当教室では、365日24時間体制で診療に対応できる組織体制を構築してまいりました。さらに、心臓血管外科はじめ看護、臨床工学、放射線、検査部門など他部署との緊密な連携を図り、安全かつ迅速な治療体制を確立しています。難しい症例においては、ハートチームメンバーが集うハートカンファレンスで協議して治療方針を決定します。
また、急性期治療を乗り越えた後の患者さんが、しっかりと社会復帰できるよう、心リハカンファを通して、再発防止や長期予後の改善にも取り組んでおります。近隣の医療機関との連携も大切にし、循環器疾患の地域医療の中核を担うべく、日々努力を続けています。
当科は、虚血、不整脈、心エコー、TAVIの4つの診療グループに分かれており、専攻医や専門分野が未定の医師は、これらをローテートしながら循環器全般の臨床知識を実践的に学んでいます。専攻医は、心臓カテーテルによる冠動脈造影や冠動脈形成術の習得を目指し、また当科の特徴であるカテーテルアブレーションにより、虚血と不整脈の両面をカバーできる技術の習得を目指しております。
研究内容として、虚血グループは、血管内イメージングを用いた不安定プラークの解明、QFRやFFRangioといった低侵襲な虚血評価技術の臨床応用、さらには3Dプリンターによる冠動脈治療シミュレーション開発や、多施設共同研究による抗血栓療法の最適化など、多角的なアプローチを進めています。
不整脈は突然死や脳梗塞、心不全の原因となる重要な疾患です。近年、薬物療法に頼らず、カテーテルアブレーションを積極的に活用する治療が広がっています。当教室では、多くのカテーテルアブレーション実績を持ち、最先端の3Dマッピングシステムや高周波、冷凍凝固、レーザー、ホットバルーンなどのアブレーション技術を導入しています。特に、持続性心房細動に対する革新的な治療法の開発に力を入れ、周波数解析やローター(渦巻き型旋回興奮波)に着目したアブレーションを進めています。また、新技術「パルスフィールドアブレーション」によるより安全で効果的な治療戦略の確立を目指し、研究を進めています。
また、心不全治療の分野では、心臓再同期療法、左脚エリアペーシングなどのデバイス治療、新薬の検証や国際共同治験を通じ、変化する高齢化医療に対応する新たな治療法の開発に力を注いでおります。日々、多くの研究成果を国内外の学会や論文で発信しております。
さらに、2023年4月より本学医学部には大学院が設置され、臨床研究はもちろん、基礎研究でも学位取得が可能な体制が整いました。社会人として働きながら単位を修得できる柔軟な制度となっております。
若手医師も増え活気ある医局の中で、医学部学生も臨床実習に積極的に参加し、活発な学びの環境が広がっています。当教室では、情熱ある医師の皆さまとともに、未来の循環器内科医療を築いていきたいと考えております。共に新たな挑戦をし、未来への扉を開いていきましょう。